本プログラムでは、単なる既存の延長線上にある技術の実装を超え、不確実性の許容を優先されるべき価値観とします。シリコンバレーのトップVCクライナー・パーキンスが「技術的な困難さに市場参入の困難さは反比例する」と語ったように、困難かつ普遍的な課題に取り組むことで大きな社会的インパクトを生み出す**”Startup-like”なアイデアを共に構築すること、および、そのアイデアをachievableなものとするための検証の第一歩を共に推進する**ためのプログラムです。

このプログラムで目指す”Deeptech Startup”は研究と縁遠いものと思われるかもしれませんが、自身の研究室や国の予算ではできない野心的なプロジェクトをやりうる手段としても捉えらますし、研究&実装活動を両立しうる優秀な知的人材が正当に認められる場にもなりつつあります。たとえば、前者のケースでは、代替タンパクのimpossible foodsがあげられますし、後者に関して言えば、openAIのエンジニア最低給与は2,500万円前後です。

頭の片隅でスタートアップに関心ある若手教員・学生のみなさまにとって、なるべく時間的負担なくそして起業に関する知識も必要とせずに最初の一歩を始められるプログラムになっています。

終了後の起業を強制することもありませんし、途中で辞退してアカデミックキャリアに専念していただいて構いません。もしくは、外部から創業メンバーを連れてきて自分は経営メンバーではなく技術顧問として関与するような形態を検討してもいいでしょう。一方で、ご自身の研究を生かした知的チャレンジができる機会が存在していることも事実ですし(スタートアップに関しては国内で(良くも悪くも)ある種のバブルと言える状況です)、スタートアップは大学のもつ視座の高さや世界像を実現する有効な手段の一つでもあります。

大学には牧歌的な自由な研究環境はあまり残されてはいませんが、金銭ではなく、その研究分野の価値の社会への提示と今後の発展を見込んで、スタートアップという形での知的挑戦も取りうる手段として検討いただければ幸いです。